皆様こんにちは。リーダーシップブログ担当の庸介(ようすけ)です。
リーダーシップにおいて「傾聴」はしばしば重要なキーワードとして語られます。
傾聴とは、相手の言葉だけでなく、表情やしぐさの奥にある本音や感情に共感を寄せながら、耳・目・心を傾けて能動的に聴くことによって信頼関係を築き、相手の成長や自律的に考える力を引き出すコミュニケーション技法です。
しかし、かつての私にとって、傾聴の実践は難しいものでした。
私は、小さな部署の現場リーダーとして、上長である統括リーダーの補佐役を期待された際に、上長の期待に応えつつ、部下の声にも耳を傾けようと努力しましたが、上からも下からも私の評判は芳しくありませんでした。
部下は、意見を「聞いて」「同意する」だけの私の「レスポンス(応答)」に失望したようです。「傾聴」するとは言っても、相手の表情や話し方から分かる意図は、私自身の能力や経験値の範囲でしかない。コミュニケーションによって、自分の経験値をも打破しなければ、浅い理解か誤解を生むのみです。そんな日々から、私は急速に自信を失っていきました。
私は結局のところ、上長である統括リーダーを恐れながら、部下とは軋轢が生じないように「聞く姿勢」に執着していたわけです。
間もなく私は現場リーダーの地位を失いましたが、その後3〜4年が経過した頃、私は周りとのコミュニケーションにある変化を実感しつつありました。
業務上の会話では自信を失っていましたが、雑談ではストレスなく、素早く的確に、そして楽しく応答できていたのです。私はこれを「リラックス・レスポンス」と呼んでいます。
きっかけは、新たに同僚となったベテラン社員との「気楽な雑談」でした。
例えば「あの若手、要領のいいタイプだから好きじゃないね、どう?」「要領のいいタイプだけど、人を踏み台にするタイプではないでしょ」「そうかね」「そうだと思うよ」「じゃあ、もう少し様子見るか」
「あの事業、労力ばかりでしかも赤字だぞ。意味あるのか」「わが社のブランディングのためだから意味あるよ」「そうかね」「そうだよ」「なるほど、一理はあるかもね」
「なに持ってるの?」「iPadだよ」「なにに使うの?」「移動中にインターネット」「お客さんところでインターネットできるか」「もちろん」「じゃあ、今度俺の客先でインターネットやりながら話したいんだけど、一緒に来てくれるか、それ持って」「いいよ、お安い御用だよ」
こうした会話の一方で、彼が周囲の質問に即座に答え、走りながら修正していく姿を見て、私は雑談で培ったリラックス・レスポンスをチームメンバーへの指示や発言の質にも広げていきました。以前のように部下に安直な同意はせず、また自分に対しても忌憚のない意見を促すようになり、コミュニケーションは円滑になり始めたのです。
リーダーにとって、自然体で応答するリラックス・レスポンスは「傾聴」の本質を体現する会話形態です。対話を促進し、メンバーの自発的な気づきを促し、業務への主体的な関与を引き出すスキルです。私は今でも、リラックス・レスポンスの質をさらに向上させるために、ちょっとした冗談を反応を気にせず発するなど、意見が言える空気を醸成するためのささやかな工夫を心がけています。