皆様こんにちは。リーダーシップブログ担当の新井 庸介です。
変化が激しく不安定なVUCA(ブーカ)時代、多くのリーダーが「メンバーの力を最大限活用しなければ」と考えています。
しかし、実は「100%取り込もうとしない」姿勢が、チームの成果を最大化する鍵かもしれません。
前回の記事では、プロレスラー・アントニオ猪木さんが提唱した「メンバーの力を引き出し、相手と自分とチームを輝かせる『風車の理論』」についてお話ししました。
前回はプロレスラーの『風車の理論』でしたが、今回は物理学者の『風車の理論』です。
ドイツの物理学者アルバート・ベッツが提唱した『風車の理論』を紹介します。
この理論を特徴づけるのは、風を取り込む最大値を表す「ベッツ限界」というキーワードです。
風力発電の風車は、風のエネルギーを100%取り込めるわけではなく、その理論上の最大効率は59.3%です。
あえて風の一部を通過させるからこそ、次の風を呼び込み、回転し続けられるのです。
この考え方は、組織運営にも通じます。
リーダーがメンバーの意見やアイデアをすべて取り入れようとすれば、判断に遅れが生じます。
また、能力を限界まで取り込もうとすれば、オーバーワークで現場の疲弊を招くおそれがあります。
一方で、重要な部分をしっかり受け止め、採用しない意見にも敬意を払いながら判断基準を明確に伝えれば、コミュニケーションは淀まず、現場は活力を失いません。
その結果、組織風土として現場の風通しが良くなり、対話のサイクルが回り続けるのです。
例えば、会議ですべての提案を採用できなくても、なぜ今回見送るかを共有するだけで、メンバーの納得感や次の挑戦意欲は大きく変わります。
VUCA時代のリーダーに求められるのは、力技による抱え込みではなく、エネルギーの流れを整える行動です。
部下やチームメンバーのポテンシャルを最適に配分しながら取り込む。
これは、高度な巻き込み力でもあります。
まさに、リーダーとしての腕の見せ所といえるでしょう。
そのヒントの一つが『風車の理論』の「ベッツ限界」にあるのです。
風車が風を最適な割合で受け止めるように、リーダーもメンバーの力を適切に引き出し、チームの成果へつなげる。
その余裕こそが、人と組織の成長を支える原動力になるのではないでしょうか。
まずは、メンバーとの対話の機会において、すべてを取り込もうとしていないか、振り返ってみてください。
その視点が、チームのパフォーマンスをより一層引き上げるきっかけになるかもしれません。
